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BEATS AND LOVE

スピリチュアルカウンセリングとヒップホップ音楽、ライフスタイルや考えあれこれ

魂が哭く男

ある朝、男は目を覚ました。
魂の、慟哭の中で。

魂の痛みがじかにのぼる。
男はうめく。
何をしたのでもない。

男は、善人であった。
少なくとも、そうあろうと努めた。
やさしくあろうとした。
正直であろうとした。
そしてまた、順応しようとした。
こたえようとした。

男の思う、世界に。

しかし、魂は知っていた。
もうひとつの目で、見ていた。
洗いざらい。

男は、見せられた。
さまざまな場面を。容赦なく。

努めていた自分、と、
その底にある生の自分とを。

どこから見ていたのだろう。
どうやって見たのだろう。
あるかけらが、冷淡に言った。
「あなた、本当はそうではないでしょう。」

人生のあらゆる場面、
あらゆる些細な記憶が洗われ、明かされてゆく。
「本当は、そう思っていなかった。」
「本当は、そうしたくなかったんだ。」
でも、そうするよりほかに何ができただろう?
それらが、今の自分を織り成している。
重なり合って、現在の私を形成している。
しかし、この痛みはどうだろう。

なぜ?誰が言うのだ。
「おまえは、ずれている」と。

男は、頭を抱えて、長いことうずくまっていた。
無限の穴が体のどこかにあって、
そこから外に向かって風が吹き上げるように――
痛みと嗚咽はいくらでも吐き出される。

無限は、怒らない。
無限は、いましめない。
しかし、怒っているのは誰だ。
絞り出すようにうめいて、嘆いているのは誰だ。

ごく自然に、そのままで――
引き返せない朝に、男は入っていった。
そっと、ぬるい水よりもっとやわらかい質感の帯へ、
境界もなく、浸透していくように。


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