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BEATS AND LOVE

スピリチュアルカウンセリングとヒップホップ音楽、ライフスタイルや考えあれこれ

虹色の衣をまとったお姫様2~幸せな青年~

ものがたり

虹色の衣をまとったお姫様の物語をおぼえていますか。

これは、あのお姫様の、つづきのお話です。

天界でのしばらくの期間をおいて、
お姫様は今、とある農夫の家のかわいい男の子として生まれました。

きょうだいのたくさんいる、にぎやかな家でした。

彼は、小さな頃、きょうだいたちとキャベツ畑で遊ぶのが好きでした。
大人の頭ほどもあるキャベツを目を見はって眺めたり、
モンシロチョウを追いかけたり、
古い納屋にかくれて、ひんやりした木のにおいをかいだりしました。

納屋に置いてある古い道具も、小さな探検家たちの財宝になりました。

彼は、学校の勉強があまり得意ではありませんでしたし、
からだも少し弱かったのですが、働ける年齢まで成長しました。

農場を手伝うきょうだいはたくさんいましたので、
町へ出て、郵便局につとめました。

町でみるにぎやかな商店や、たくさんの乗り物、
人であふれるパブなどが、青年の心を明るくしました。

青年は内気で、目立たない人間でしたが、
仕事仲間のことが好きでした。

毎日、スタンプを押すことも、
カウンターにやってくるお客さんを見ることも、
愉快に思っていました。

1年、2年、3年たって、この仕事を解雇されたときでさえ、
「ああでも、ここにいられたことはいい思い出だ」
と考えたほどです。

仕事仲間のひとりが、あくる日の馬車番の仕事を紹介してくれました。
青年は、馬が好きでしたので、わくわくしました。

それも、結婚したばかりの2人を乗せる、
飾り立てた特別な馬車の番をする予定だったのです。

青年は、自分の好きな女性のことを思いました。
いつか、こういう馬車に2人で乗ることがあるかしら、
と想像しました。

けれども、その夜、青年はぽっくり死んでしまったのです。

びっくりして、自分の肉体を見下ろしながら、
青年は考えていました。

「明日の馬車番がいなくては、困るだろう。
でも、どうやってもぼくの体へは戻れないみたいだし。
どうしたらいいのだろう」

その時、とてもなつかしい感触が、青年をつつみました。

「馬車番のことは心配しなくていいのですよ」
と、その気配は、声になって言いました。

「ぼくは、死んだんですね」
青年は心の中でつぶやいたのですが、
声はそれを聞き取ってこたえてくれました。

「ええ」

そのこたえを聞いたとたん、青年はこの人生が終わったことを悟りました。

あふれるような愛と、感謝の気持ちがなだれこんできました。

「ぼくは、好きだったんです。この人生を。この世界を」

生まれたときから今までの、様々な場面が去来しました。
なつかしく、愛しいものでした。

子供をもつことも、何かでひと旗あげることもなかったけれども…
青年は、ふっと、ほほえみました。

なんて、すてきな世界を見たのだろう。

おなかを震わせて、毎朝よく響く声で鳴いていた鳥達。
霞の中歩いていくと、草花にのっていた透明な露で服がぬれた。
家族の喧騒。スープのあたたかさ。湯気。

いつも色が変わる、高い空。
耳もとをさらう風の音。

町の人たちの、それぞれの人生に忙しかったり、
買い物をしたり、笑ったり、怒ったりしている姿。
カフェで、隣りの人がおしゃべりしている声。

それから、まだ思いを伝えたこともなかった、
好きな女性の笑顔。
横からみたときの、ほおのやさしいふくらみ、まつげ。

彼女に出会ってから、思い悩むことも含めて、
色んな感情を味わうことができた。
おかげで、今までの世界に別の色がついたみたいだった。

「どれもすばらしかった。
ありがとう。ぼくに、この世界をくれて、本当にありがとう。」

青年が、心をこめてお礼を言うと、
かたわらにいた“存在”は、こう伝えてきました。

「知っています。知っています。あなたのことは何でも。
あなたの感じていることも。私は、あなたなのですから」

青年は、そのとき、思い出したのです。
この世界と、自分が、ずっとひとつだったことを。


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