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BEATS AND LOVE

スピリチュアルカウンセリングとヒップホップ音楽、ライフスタイルや考えあれこれ

虹色の衣をまとったお姫様

あるところに、お姫様がおりました。
お姫様といっても、かつての王の遠縁だった両親はとうに死に、
今は別の王が世を治めていました。

まがりなりにも城の片すみに住んでおりましたが、
お姫様はひとりぼっちでした。

お城にいても、たいして意味はないように思えました。
誰も自分のことなど好きでないようでした。

お姫様はめったに笑わず、
この牢獄のような「繰り返し」の人生を厭いました。


ある日、広い庭を散歩していると、太陽が一瞬さぁっと輝いて、
あたり一面が黄金の野原のように見えました。

お姫様は思わず目を見開いて「あ」と声を出しました。
そのとき、風が吹いて、草たちがざわざわざわざわ、

「あなたは光り輝くお姫さま。美しいお姫さま。」

と言ったように思えたのです。


お姫さまはすぐに首をふりました。

「私が美しいだなんて。美しいというのは、
城のあちこちに飾られた肖像画のようなことを言うのよ。
私のぱっとしないこと。くすんでいるわ」

まだ、草はそよそよ言っていましたが、
お姫さまは嘲笑しました。

「それに、草がしゃべるなんて!」


それからまた何年かが過ぎたある日のこと。
池のまわりを散歩していると、蛙がぴょん!と飛び出してきました。
お姫さまは、そのおかしな姿に思わず笑いました。
すると、蛙が言ったのです。

「あなたは踊り手。夢のようなステップを次々と踏む」

お姫様は思いました。

「私が踊り手?とんでもない。舞踏会に誘われたこともないのに」

蛙はぴょんぴょん跳びながら、まるで「ちょっと足を動かしてみたら?」
とでも言いたげでしたが、お姫様はほんとにちょっと足を動かして…

「ばかばかしい。音楽もないのに。それに私、ステップも知らない」

すぐにやめました。

蛙が何か言ってるなんて思う自分がばかみたいでした。
もう、蛙はどこかへ行ってしまいました。
お姫様は涙をこぼしました。


それからまた何年か過ぎたある日のこと。
お姫さまは、城の古い書庫の近くを歩いていました。
ほこりだらけのきしむ床の音をきき、古い本のにおいをかいでいると、
頭の中で様々な歯車が動き出し、こう言っているようでした。

「学びなさい。学びなさい。あなたは光る頭脳の持ち主」

お姫さまははっとしましたが、おそるおそる本を開いて、
すぐに首をふりました。

「私にはとても理解できない。この本の文字だって読めないもの」

けれども、お姫さまの心には、本から何かが伝わってきて、
画像をかたちづくるように思えました。


しばらくして、

「字を読まずにでたらめな考えをめぐらせるなんて。
ついに私も気が狂ったわ」

お姫様は本を戻し、書庫から出て行きました。



そして、お姫様は亡くなりました。

気づくと、何かとてもなつかしい広がりの中にいて、
まるで高い高いところから見下ろしているように、
自分がかつて生きていた土地を眺めていました。


音ではない、心に響く声が言いました。

「あなたは、ご自分の美しさに気づかなかったね」

ぼんやりとしたまま、お姫様は言いました。

「私が美しかったことなんて、あったかしら?」

すると、太陽に見とれていたある日の自分が見えました。
その瞬間、胸の中心からまばゆいばかりの光を放射し、
虹色の衣をゆらゆらとまとって輝いている世にも美しい女性が見えました。

お姫様は目を疑いました。

「あれが私だったの?」


声はまた、言いました。

「あなたは、風とともに歌い、大地とともに踊るのを忘れていたね」

お姫様は、また、ある日のシーンを見ました。
蛙がぴょんぴょん跳ぶのを見ながら、
お姫様の体の内側でリズムが奏でられ、
くつくつ湧いてくる笑いと一緒に、足の芯がうずうずと動こうとしていました。

今のお姫様には、その音が「聞こえ」、その動きが「見え」ました。


それから、声は言いました。

「あなたは、高性能の道具、魔法の杖を使うことも忘れていた」

あの日、書庫の前で、知の光が大きく広がり、
知覚の雲が形作られんとするのをお姫様は「感じました」。
それは、あらゆる手段で情報を吸収しようとしていました。


お姫様は、いまやすぅっと霧が晴れたように、
なにもかも思い出しました。

「ええ、私は忘れていました。すっかり忘れていました。
私の内側にある心はいつも、思い出させようとしていたのに。
この目を、この耳を、この感覚を。
私はそこに覆いをかけ、ふたをし、自分をかたまった世界の、
せまい牢獄に閉じ込めました。」


声はやさしく言いました。

「私は、何度も使者を送りました。」


お姫様は思いました。どこかで私は気づいていたのに!
どうしてもっと早く思い出せなかったのだろう。


声がこたえてくれました。

「ここから眺めると、いつもそこにあったふんだんな愛がよく見える。
どんな形に変わっても、それがわからなくならないように、
この感覚をよく覚えておきなさい。そして、今は休みなさい。」


お姫様は目を閉じました。


※この物語は、「虹色の衣をまとったお姫様2~幸せな青年~」へ続きます。


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