BEATS AND LOVE

スピリチュアリティー、根本の癒し、ヒップホップ音楽とライフスタイルや考えあれこれ

かけらを集める人

かけらを集める人がいた。

割れた陶器のかけら。
とうになくなったパズルの1ピース。
なにかの破片。
アクセサリーから落ちたらしいビーズ。
ばらばらにちぎれた手紙。
どこかの機械の部品。

人々は、かれを変わった人だと思った。
かれの集めるもので役に立つものはなかったし、
それらをどうにかして役に立てているふしもなかったからだ。

でも、かけらを集める人は、さまざまなかけらを集め続けた。
そして、時々それらを取り出しては、眺めていた。

あるとき、誰かがこう尋ねた。
「何かのかけらばかり集めて、どうするんだい?」と。

かけらを集める人はこたえた。

「どうもしないさ。
ただ、こうしてあるものを眺めていると楽しいんだ。
どれもが、かならず、何かもっと大きなものの続きだったんだ。
それがどんな姿をしていたか、どんな風に使われていたのか、
ここまで来るにはどんな道のりをたどったか……想像していると、楽しいよ」

質問した者は、こう言った。
「そんなこと言ったって、今となってはその全体像なんて、
本当のところはわからないではないか」

かけらを集める人は言った。

「そりゃそうさ。でも、“ある”と知っているだけでいいんだ。
何かのかけらだったと、わかっているだけでとても愛しいんだ。
本当のところそれが何であったかは、ずっとわからなくても」

質問した者は首をふった。
「そんなものかね」

かれはほほえんで、また、かけらを眺めていた。

 


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