かけらを集める人がいた。
割れた陶器のかけら。
とうになくなったパズルの1ピース。
なにかの破片。
アクセサリーから落ちたらしいビーズ。
ばらばらにちぎれた手紙。
どこかの機械の部品。
人々は、かれを変わった人だと思った。
かれの集めるもので役に立つものはなかったし、
それらをどうにかして役に立てているふしもなかったからだ。
でも、かけらを集める人は、さまざまなかけらを集め続けた。
そして、時々それらを取り出しては、眺めていた。
あるとき、誰かがこう尋ねた。
「何かのかけらばかり集めて、どうするんだい?」と。
かけらを集める人はこたえた。
「どうもしないさ。
ただ、こうしてあるものを眺めていると楽しいんだ。
どれもが、かならず、何かもっと大きなものの続きだったんだ。
それがどんな姿をしていたか、どんな風に使われていたのか、
ここまで来るにはどんな道のりをたどったか……想像していると、楽しいよ」
質問した者は、こう言った。
「そんなこと言ったって、今となってはその全体像なんて、
本当のところはわからないではないか」
かけらを集める人は言った。
「そりゃそうさ。でも、“ある”と知っているだけでいいんだ。
何かのかけらだったと、わかっているだけでとても愛しいんだ。
本当のところそれが何であったかは、ずっとわからなくても」
質問した者は首をふった。
「そんなものかね」
かれはほほえんで、また、かけらを眺めていた。
☆スピリチュアルカウンセリング☆