BEATS AND LOVE

スピリチュアルカウンセリングとヒップホップ音楽、ライフスタイルや考えあれこれ

Snoop Doggのソロデビュー当時の記事を翻訳したよ

今回は、先月から少しずつ訳していた、スヌープ・ドッグの記事をやっとこさシェアします。
ほそぼそと翻訳作業していたのが完成したので、わくわく♪

少し前の記事でも予告していたのですが、オンラインの「ザ・ニューヨークタイムズ」紙でSnoop Dogg(当時はSnoop Doggy Dogg)が初のアルバムをリリースした頃の記事があり、興味深かったので抜粋・翻訳することにしたのでした。1993年11月21日の記事です。

スヌープについてすでによく知っている人も読み物として楽しめるし、ニューヨークタイムズの記事なのでヒップホップ音楽に不慣れな読者も読めるように書かれていますよ。近年ラップが好きになって、当時のリアルタイムの空気感を知りたい人にもおすすめです。
私は、ギャングスタ・ラップから自分が感じていたことや考察していたことがこの記事内容ともシンクロしていて、ずいぶん昔の記事とはいえ、面白く読みました。

記事を書いた記者は、ローリング・ストーン誌でブラック・ミュージックについて書いていたというこの方。→Touré (journalist) - Wikipedia

目にしたきっかけは、先月こちらのネイト・ドッグの記事を書いたことからでした。↓
「Nate Doggへの追慕と、ギャングスタ・ラップと宗教を考える」

beats-and-love.hatenablog.com

ちなみにこの機会に、スヌープ・ドッグとネイト・ドッグはいとこ同士」という情報が本当かどうかも調べてみました。
というのも、スヌープ本人は、高校で初めてネイトと会ったと語っていたからです。しかも、スヌープはよく親しみを込めて誰かを「nephew(甥)」など親戚の呼び名で呼ぶので、実際はどうなのかなと思っていたのです。

それまでネットで調べてわかる限りでは、血縁上はいとこだけど、高校のときまでお互いに会ったことがなかったのかな、と推測するしか確かめようがありませんでした。
ところが今回のニューヨークタイムズの記事内に、ちょうどスヌープの両親がミシシッピ出身という記述があって、血縁関係で間違いなさそうだと結論が出ました。ネイトは14歳のときにやはりミシシッピからロサンゼルスに引越してきたと情報にあるからです。

さて、私はスヌープの大ファンというわけではないのですが、そもそも西海岸のラップ、特にG-funk やTha Dogg Pound周辺が大好きでしたので、たとえば2Pacを抜きにして当時のシーンを語れないというのと同じように、スヌープのことも一目置いていました。ある時期までは、アルバムも買って聴いていました。

ただ、スヌープはラッパーという肩書におさまるだけじゃない、あまりにも多芸というか個性が際立っている人なので、それを以前の記事では「スヌープは芸能人」と表現しました。
私から見ると、彼の個性は……たとえば、2Pacギャングスタ的イメージを「演じ切れない」部分、生身の心情がけっこう作品を通して吐露されてしまうのに比べて、スヌープは色々あってもどことなく「失恋して泣きながらも鏡を見てメイク直ししている女性」のような、どこか大丈夫そうな感じ、逞しさやしなやかさがあるなぁと思うのです(笑)

さて、前置きはこのくらいにして、今回の元記事はこちらです。スヌープがギャングスタ・ラップについて当時どう発言していたかなども出てきますよ。↓
Snoop Dogg's Gentle Hip Hop Growl--The New York Times」(2ページあります)

www.nytimes.com

Dr. Dreのアルバム「The Chronic」でスヌープの存在が注目された後、スヌープ個人のデビューアルバム「Doggystyle」が出る直前のインタビュー。
全体はかなり長いので、面白いと感じたところを抜粋して訳しました。

それでは、ENJOY!

☆☆☆

(ここから翻訳)

…火曜日、デス・ロウレコードは、カリフォルニアのロングビーチでCalvin Broadus(※スヌープの本名)として生まれ、母親にスヌープというあだ名をつけられた男の『Doggy Style』をリリースする。このアルバムは、先行するファースト・シングルとビデオ『What's My Name?』に続く形で、デビューアルバムとしては初めての、ビルボードのポップ・アルバムチャート1位に入ることを期待されている。
「これは今まで見た中で最大の旋風だよ」と、トップ・ラッパーをたくさん手がけているラッシュ・マネージメントの社長、クリス・ライティは言う。
「前に、これに近かったものは、たぶんジミ・ヘンドリックス…いや、N.W.A.の『Niggas4Life』だね。みんな店に行っては『まだ入荷してないの?まだ入荷してないの?』って聞くんだ。」

スヌープの音楽は、都会生活の暴力的な試練を描写したライムが特徴的なジャンル、ギャングスタ・ラップだ。ギャングスタ・ラップは、おそらくヒップホップの中で最も知られている要素だが、ジャズに対するフュージョンと同じように、ヒップホップの決定的な表現だというわけではない。…(中略)

…スヌープよりもリズミカルな柔軟性や音の力強さを持つラッパーは他にいるが、新しさを美点とするなら、スヌープがものを言う。彼の声の使い方は、あらゆる点で新鮮だからだ。

「スヌープが最高だ(The dopest)というわけじゃない」、プラチナセールスを記録したラップグループ『クリスクロス』のプロデューサー、ジャーメイン・デュプリは言う。「でも、現時点では、彼はキングだ。」

スヌープのヴォーカルスタイルは、彼を際立たせているもののひとつである。他の多くのラッパーが比喩的にも、実際にも、叫んでいるのに対し、スヌープは穏やかに話す。…(中略)

スヌープの穏やかなトーンは、アル・グリーンカーティス・メイフィールドといったソウルヴォーカリストの声の系統に位置づけされる。彼の声は鼻にかかったテナーで、特に南部風の訛りと(ミシシッピで生まれた両親と祖父母から受け継いでいる)、かなり抑制的な歌い方が特徴だ。そのすべてが、超絶クールな男のオーラを醸し出す。

スヌープは彼のスタイルについて、「基本の会話なんだよ」と言う。「俺はラップはしない、ただ話す。興奮しまくって早口でラップするのは好きじゃないね、俺らしくないから。俺はリラックスできるようにして仲間たちと会話したいんだ。スティーブン・セガールクリント・イーストウッドとの違いだよ。セガールはゆったりしてない。イーストウッドはしてる。」

クールにくつろぐスヌープは、個人的な恐怖を軽くするアフリカ系アメリカ人の伝統を思わせる。ブルースマンたちが、彼らの痛みの重さを軽くするために恩寵を見出したのと同じ感情的源泉から、ギャングと警察官が戦闘しているさなかでのスヌープの平然とした様が生じているのだ。

(中略)

 「生まれたての赤ん坊に、どんな風にすごく慎重で繊細になるか、わかるだろ?」と、スヌープが尋ねる。「俺がラップするときのビートの扱い方は、それだよ…生まれたての赤ん坊を扱うみたいにする。たとえそれがハードな曲だったとしても、俺が言ってることに感動するはずだよ、俺は繊細に表現するからな。」

(中略)

スヌープはライムを繊細に表現するけれども、その内容は決して繊細どころではない。貧しい生活の中で頻繁に暴力を目にしながら育ち、ロサンゼルス郊外のWayside郡刑務所で(コカイン所持で)6ヶ月の刑期を務めた経験をスヌープは基にしている。
「俺のラップは、親しい仲間の誰かに起きたことを俺自身が目撃した出来事か、ただゲトー(スラム街)にいるだけで自分が知っていることかのどちらかなんだ。自分の知らないことについてはラップできないよ。俺が学士号についてラップするのなんて絶対耳にすることはないだろう。俺が知っていることはそういうストリートの生活だけだったのさ。それが日常生活のすべてで、現実だったんだ。」と、彼は言う。

すべてリアルであるということがヒップホップにおいては最もよく繰り返される話で、その世界ではスラム街出身で波瀾万丈の過去を持っていることが格好いいこととされており、彼らの経歴には多くの嘘がある。ヒップホップファンは正直なアーティストを好むが、しかし実際のところ、「リアルさ」についての議論は無意味かもしれない。彼らはエンターテイナーなのだから。最高のラッパーの一人と広く認められているラキムが、こう表現するように。「殺しをすると言ってデビューしたグループがいても、現実には、彼らはただのラッパーなんだよ。」

ラッパーの発言やストーリーが現実に即していることは大切だが、彼らがその内容の張本人でなければならないのだろうか?思慮深いファンにとって重要なのは、いかにリリック(詞)が信頼できると思えるかだろう。ここでも、スヌープは際立っている。彼の注意が詳細にまで向けられているために、非常に信頼できるものに聞こえるのだ。プロデューサーのデュプリ氏によると、「スヌープの詳細の描写は、人々に『うわぁ、これは実際に彼が見たことに違いない!』と思わせるんだ。」

たとえば、『ザ・クロニック』の中のスヌープのお気に入りの曲で――その曲のタイトルは卑猥な言葉満載なのだが――彼はある暑い日のことを描写する…6ヶ月の刑期を終えた直後に、主人公は彼女の家へ車を走らせ、拳銃を振りかざしながら部屋に押し入ると、彼女が自分(主人公)のいとことセックスしているのを発見する。彼は彼女を撃とうかと考えるが、殺す価値もない女と判断して、撃たない。

スヌープは他の多くのラッパーよりも正直に聞こえるし、そうなのかもしれないが――それはスヌープ本人が、彼のとるギャングスタ的な態度や、彼の側近たちが示唆するであろう姿そのままの無法者であるということを意味するわけではない。スヌープは6年生のときにラップをし始め、ロングビーチにあるゴルゴタ・トリニティ・バプティスト教会の聖歌隊で歌い、ロングビーチ・ポリテクニック高校を卒業した。彼はギャングメンバーとつるんでいたけれども、彼自身は一度もギャングに加わっていないと主張している。彼らを観察することで題材を得て、(刑務所へ)収監されたことが彼を真剣にさせた。

「俺は、自分の人生について考え始めたんだ」と彼は言う。「俺はここに戻って来続けたいのか?それとも、自分自身を高めて、母が誇りに思うような人間になりたいのか?Wayside(郡刑務所)で周りの人たちが語るストーリー全部に耳を傾けて、ノートに書き留め、それをラップにしたんだ。あれがラップについて初めて真剣になり始めたときだったね。年上の受刑者たちは、よく俺を呼び出してはこう言ったよ、『若者よ、お前はこの中にいる必要はないよ。神はお前に才能を与えたんだから、それを使うべきだ。』と。」

リリックが現実から書かれたものだということは、その描写の内容について批判を避けるためのヒップホップの最大の言い訳でもあった。ラッパーたちは、それがもたらす影響に責任を取ることなく、暴力や猥褻な状況について日常的に語ってきた。まるでわざと世界観を欠いた、ストリートからのレポーターのように。

スヌープは、自分の描写する内容には反対の立場を取っているのだと強く主張する。「自分の子どもたちに理解させることができないでいる親を、支援する役割を担うことが俺の仕事のような気がしているよ。」と、スヌープは語る。「ゲトーで育つ小さな子たちは、誤った物事に足を踏み入れやすい。特にギャングのメンバーになることや、ドラッグを売ることなんかにね。俺はそれがどんなものか見てきたし、美化はしないけど、説教もしない。俺の母さんが声を荒げて『これはしちゃダメ』と言ってくると、俺はかえって行ってやってみたくなったものだった。子どもたち自身にそれがどんなものかを発見させるよりは、こういうものだよって俺が示して見せているんだ。」

スヌープの潜在的なメッセージを理解するには、細心の注意を払いながら聴く必要がある。彼の反逆的な日々の物語に夢中になる方が、はるかに簡単なことだろう。彼はそう意図していないかもしれないし、認めたくないかもしれないが、スヌープはハリウッド映画のスターの手腕で、自分の人生に壮大な輝きを盛ってしまった。

(この後、スヌープの運転していた車の助手席から、スヌープのボディーガードが人を撃った事件について、審問日程など記述あり。中略。)

駐車場に戻って、スヌープは夢について語る。「アルバムを作り終えたら、ギャングの犯罪を撤廃するために努力したいと思ってる。和平のために尽力するつもりだ。」(中略)「俺には大きな力があるってわかっているんだ。」スヌープは言う。「俺が『殺しはするな』と言ったら、奴ら(niggers)は殺さないだろう。」

奴隷制度の時代にまで遡るアフリカ系アメリカ人サブカルチャーの伝統を受け継いで、外部の人間と内部の人間を分けるために、ラップのリリックには常に新しく考案された言葉が使われている。
ここにスヌープの2つのリリックを引用し、解説する。

(1つめの引用と解説は略)

ドクター・ドレのアルバム『ザ・クロニック』に収録されている『Stranded on Death Row』の中でスヌープは、1992年のロサンゼルス暴動を受けてギャング平和条約が結ばれた後の受刑者たち、ギャングたち、そして警察の態度を描写している。 

(※以下、記事で引用されているスヌープのリリックはヴァースの途中からになっており、前の文からの意味がなくなったり、一部変えられたり削られたりしているので、元のリリックの該当箇所を参考に翻訳。かっこ内の解説も私によるもの。)

『服役している俺の仲間たちへ

刑務所と郡拘置所の中で

青い服(囚人服。と同時に、スヌープと関係あると言われるギャング団クリップスの色でもある)を着て、たむろして、怒り狂ってる

そしてお前が「Fuck the Police!」と言うと

それでストリートの仲間はみんな、講和を結ぶ

すると、それが警官どもをイラつかせる

でもな、これは黒人同士の間だけでのことなのさ』

(ここからは記者によるリリックの解説)
「Mobbing」はたむろすという意味で、「blues」は受刑者たちの服のこと。最後の行は、このアルバムのファースト・シングルのタイトル『Nothin' but a G Thang』で、「G」がギャングスタを表していた部分を入れ替えた言葉遊びだ。詩人ならではの叙情的な複雑さを用いて、スヌープはギャングメンバーたちが彼らの色をある色へ交換したことを説明している――団結した一つの色、「黒」に。

☆☆☆

いかがでしたか。

なかなか長かったけれど、興味深かったところは省略せず全部訳しました。
最後の部分は、解説にもありましたが、ストリートギャングがシンボルカラーを持っているという背景を頭に入れて読むと、リリックの意味がなるほど~となると思います。
リリックの一部、しかも訳のみを読むとわかりにくいかもしれませんが、N.W.A.の曲名でも有名なFuck the Policeのフレーズはそのままの意味で、ここでは黒人同士の団結と、警察とを対置させて描いているのです。

これまで私が幾度か記事に書いてきた、ギャングスタ・ラップの「リアルさ」が問題になるという風潮も、著者の考え、そして他のラッパーやスヌープ本人の言葉もあわせて面白く読めましたよね。

フリースタイルやバトル・ラップも得意なスヌープ。ドレーのアルバムで流星のごとく現れ、注目されていたこの頃のきらめきは、目を見張るものがあったでしょうね。

私は今「Doggystyle」は手元に持っていないのですが、この記事でも度々出てきたDr. Dreの名作にしてスヌープを有名にしたアルバム「The Chronic」を持っていて、最近また繰り返し聴いています。やっぱり素晴らしくて飽きないんだよなぁ。

というわけで、こちらを紹介して終わりにします。

「The Chronic」アルバムCDはこちら↓ 

Chronic

Chronic

 

iTunesではこちら。
同アルバムの中から。Eazy-Eをディスっている内容だけど、すごく好きな曲です。
この頃のスヌープのとんがったラップと、どっしり重ためのドレーのラップのコンビネーションもとてもいい!
「Fuck wit Dre Day (And Everybody's Celebratin')」↓ 

Fuck wit Dre Day (And Everybody's Celebratin')

Fuck wit Dre Day (And Everybody's Celebratin')

★定番の「Nuthin' but a G thang」も一緒に!
このアルバムは本当に、通しで聴いても、うなってしまう良さ。おすすめですよ。↓ 

Nuthin' but a G thang (feat. Snoop Dogg)

Nuthin' but a G thang (feat. Snoop Dogg)

余談として、以前リル・ウェインの記事でふれた「マザファッカーズ」の「guys, people」的な使用法についてですが、改めて聞き直したらこのアルバムにもその意味で使われている箇所がありました。昔からだったね!

こちらもよろしく↓

★4/22の講座「インナーフォーカス~意思決定と現実~」
お申込み受付中。講座後に懇親会もあります。 

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